法第二十条、構造規定はここから始まる。

構造設計者にとって、法二十条の存在感は、別格。
意匠に単細胞と言われようが、何と言われようが、我々は法第二十条の中で生きている。その他はみんな付属物だ。構造設計者が『建築基準法』の中で読むべき条文は、法第二十条を除けばあまりない。

(構造耐力) 第二十条

さて法第二十条は、その柱書きにおいて曰く、

建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

ここで法二十条は、建築物にかかってくる外力を、過不足なく、そして美しく列挙する。
「自重」はつまり、建築物そのものの持つ、慣性力としての鉛直荷重。そこに留まっているものは、一秒後もそこに留まっていようとする、というご存知の物理法則。

「積載荷重」。これは、建築構造の中では頻繁に出てくるが、日常会話で出てくることは滅多にない。建築物は、その存在意義として何かしらの”用途”を有する。その用途に応じて、建築物の各部分に載せられる荷重が積載荷重。

「風圧、土圧、水圧、地震」。建築は自然の中に存在する。その自然の営みの中で、建築物がどのような外力を受けるのか、我々はそれを想像して設計しなければならない。

そして建築基準法第二十条は、建築物の規模の区分によって、第一号から第四号まで構造性能を規定する。「The bigger, the stronger.」大きな建築物ほど、より強く。大きな規模の建築物であればあるほど、損傷、破壊、又は喪失した場合の影響が大きい。よって大きな規模の建築物であればあるほど、より安全な構造にしなさい、と建築基準法は謳っている。
設計しているとよく思う。このちっぽけな戸建て住宅も、その建築主にとっては、一世一代の大勝負の買い物に、違いないと。高さ60m超のタワー型マンションと、建築主にとっての価値に違いはないはずだと。

しかし法律は冷徹。社会的には、それは四号、こっちは一号。